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歯周病と糖尿病の怖~い関係⑤~高血糖が歯周病を悪くする理由

血糖値が上がると起きる、歯周病への影響


口腔内の乾燥化による歯周病の悪化


  1. 高血糖状態になると、浸透圧の関係で尿がたくさん出ます。
  2. 排尿が多いと、体内の水分が減少します。
  3. 水分の減少に比例し、唾液の分泌量が減り、口の中が乾燥します。
    1. 唾液の減少は、口の中の浄化や殺菌を遅らせます。
    2. 傷つき、痛んだ細胞組織の組織を修復作用邪魔します。
    3. 口の中が乾燥することで、歯周病菌が繁殖しやすくなり、症状が進行します。

唾液などの糖分濃度が高くなる


  1. 口の中は唾液や歯肉からの滲出液で常に潤っています。
  2. これらの液体は、もともとは血液から作られるものです。
  3. その為、高血糖下では、唾液や滲出液の糖分の濃度が高くなります。
  4. そのような状態は、歯周病の原因菌が繁殖に適していると考えられます。

細菌に対する抵抗力が低下する

高血糖状態では、細菌を貪食する好中球(白血球の中で最も数が多い顆粒球)の働きが低下することがわかっています。つまり、感染防御機構が十分に機能しなくなるということです。そのために様々な感染症にかかりやすくなり、感染症である歯周病も当然、起こりやすくなります。


組織の修復力が低下する

プラークが形成された歯周組織では、細菌によって引き起こされる組織の破壊と、それを何とか修復しようとする働きのせめぎあいが続いています。高血糖(または低血糖)状態では、組織を修復する働きが低下することがわかっていて、糖尿病で歯周病の進行が早くなることには、このことが影響していると考えられます。
  

歯周病の症状

糖尿病で現れる症状
  • 歯が浮いたような感じがする
  • 歯肉に赤く腫れた部分がある
  • 歯みがきの後、出血することがある
  • 歯肉から膿がでる
  • 口臭が気になる
  • 歯の間に食べ物がつまりやすい
  • 歯肉がやせて下がってきた
  • 少しグラつく歯がある

グリセミック・インデックスの概略

グリセミック・インデックス(Glycemic Index:GI)


GIは、(グリセミック・インデックス)の略で、血糖値の上がりやすさを示す指標です。

GIは、食品に含まれる糖質の吸収度合いを示し、摂取2時間までに血液中に入る糖質の量を計ったものです。

GI 値が高い食品ほど、血糖値を急激に上げやすいものと言えます。
  • GI 値 55 以下の食品を「低 GI 食品」
  • 56 ~ 69 の食品を「中 GI 食品」
  • 70 以上の食品を「高 GI 食品」
と分類します。

例えば、

白米は GI 値 72 で高 GI 食品に分類
玄米は GI 値 66 で中 GI 食品に分類

されています。

GIが高い食品は、一気に血糖値を上昇させるため、血液中の糖の処理に多量にインスリンが分泌されたり、分泌が追いつかなくなるということが起こります。

逆にGIが低い食品では、糖がおだやかに取り込まれ、血糖値の上昇もゆるやかになるため、インスリンも分泌しすぎることなく、糖はすみやかに組織に吸収されるのです。

低GI食品による肥満やメタボリックシンドロームの予防・改善効果


GIは、特に、2003年にWHOから
「過体重、肥満、2型糖尿病の発症リスクを、低GI食品が低減させる可能性がある」
というレポートが出されました。

その後、さまざまな研究が進み、食品メーカーは、食物繊維が多く、エネルギー密度が少く、GI値の低い食品の開発に力を入れています。


あかしあ蜂蜜で血糖値とインスリン値を抑制する

血糖値・インスリン分泌を抑えるアカシア蜂蜜の効果


(山田養蜂場:みつばち健康科学研究所の研究発表より)


【実験方法】

健康な成人男女(21~73歳)に、日本ならびに海外で異なる植物から集められた蜂蜜7種を飲用してもらい、飲用前後の血糖値とインスリン値から、ブドウ糖を飲用した際の値を100として、血糖値の上昇の度合いを示すグリセミックインデックス(GI)、およびインスリン値の上昇の度合いを示すインスリンインデックス(II)、を評価しました。

グリセミックインデックス(GI)

【実験結果】

ブドウ糖に比べ、アカシア蜂蜜(日本産、ルーマニア産)は、飲用後の血糖値とインスリン値の上昇が緩やかでした。

また、GIおよびIIを算出すると、いずれのアカシア蜂蜜も、各蜂蜜の中で最も低い数値を示し、低GI、低II食品であることがわかりました。


一方、フルクトース含有率は、アカシア蜂蜜(日本産、ルーマニア産)が最も高く、蜂蜜のフルクトース含有率とIIは負の相関を示しました。

アカシア蜂蜜の飲用で血糖値とインスリン値が上昇しにくい要因の一つとして、高いフルクトース含有率が考えられます。

今回の成果から、アカシア蜂蜜は、ブドウ糖に比べて、血糖値とインスリン値が上昇しにい食品で、糖尿病の予防に適した特性をもつ甘味料であることが示唆されました。
アカシア蜂蜜は血糖値の上がりにくい天然甘味料なのです。

アカシア蜂蜜を見てみる
 
蜂蜜の成分と健康効果

歯周病と糖尿病の怖~い関係④~歯周病が血糖値を上げる理由

糖尿病患者の70%は歯周病の患者です



歯周病になると糖尿病の症状が悪化します
歯周病を治療すると、糖尿病が改善します

歯周病によってインスリン抵抗性が生じる



歯周病は感染症です。

しかし、風邪やインフルエンザ、肺炎などのように、治療を受け、原因となる細菌やウイルスが消滅すれば完治する感染症とは違います。

歯周病が普通の感染症と違うのは、慢性感染症だということです。

治療を継続していないと、歯周組織に住んでいる細菌の活動を封じ込めることができません。
ときには、歯肉の毛細血管から血液中に細菌が入り込み、菌血症を起こすこともあります。

 このような時、ヒトの体は様々なサイトカインを分泌して、細菌やウイルスに対抗しようとします。
それらのサイトカインは、インスリン(血糖値を下げる唯一のホルモン)の働きを阻害して「インスリン抵抗性」という状態を生じさせます。

当然、血糖値はいつもより上昇してきます。
健康な人ならすぐに膵臓からインスリンが分泌されて血糖値が高くなり過ぎることはありませんが、糖尿病の人では血糖コントロールが乱れる大きな原因となります。

慢性感染症である歯周病を放置すると、体は常にインスリン抵抗性の状態になっていると考えられます。

歯周病菌は内毒素をまき散らす

 

内毒素=細菌の細胞壁に含まれる毒物です。
細菌が死滅しても毒は残ります。エンドトキシンとも呼びます。

歯周病菌は腫れた歯肉から容易に血管内に侵入し全身に回ります。
血管に入った細菌は体の力で死滅しますが、歯周病菌の死骸の持つ内毒素は残り血糖値に悪影響を及ぼします。

血液中の内毒素は、脂肪組織や肝臓からのTNF-αの産生を強力に推し進めます。
TNF-αは、血液中の糖分の取り込みを抑える働きもあるため、血糖値を下げるホルモン(インスリン)の働きを邪魔してしまうのです。

※TNF-αとは、慢性の炎症箇所で作られるたんぱく質です。インスリンの働きを妨げます。
※HbA1c(ヘモグロビンA1c)を検査することで、過去1~2ヶ月の血糖値が分かります。

歯周病の治療による血糖コントロールへの影響


歯周病を合併した糖尿病の患者さんに、抗菌薬を用いた歯周病治療を行ったところ、血液中のTNF-α濃度が低下するだけではなく、血糖値のコントロール状態を示すHbA1c値も改善するという結果が得られています。

歯周病と糖尿病の怖~い関係③~影響しあう負のスパイラル

歯周病と糖尿病の相互干渉~負のスパイラル





歯周病と糖尿病は、お互いに影響しあい、それぞれの症状を悪化させます。


糖尿病の人が歯周病になりやすい理由

糖尿病にかかると
  1. 血管がもろくなる
  2. 血液のめぐりが悪くなる
  3. 体の抵抗力が弱くなる
  4. 歯周病菌に感染しやすくなる
そこで、こんなことが言えます。

糖尿病の人は歯周病の罹患率が高い

糖尿病の患者は、健康な人に比べて、約2倍の頻度で歯周病が起きやすくなります。

糖尿病の人は歯周病がより重症化しやすい

糖尿病の人は、歯周病に感染する歯の本数や、歯周ポケット(歯と歯ぐきの間にできるすき間)の大きさなどの、歯周病の重症度を示す値が、糖尿病でない人より高くなります。

糖尿病の罹病期間が長い人ほど、歯周病の罹患率が高い

糖尿病では罹病期間が長くなるほど、いろいろな合併症が起きやすくなりますが、歯周病も同じ傾向がみられます。

もちろん、糖尿病の期間が長いということは、それだけ高齢であることが多いので、歯周病の罹患率も自然に高くないます。

血糖コントロールがよくない人は歯周病がより重症化しやすい

血糖コントロールがよくない人ほど、合併症の進行が早くなりますが、歯周病も同じ傾向がみられます。

糖尿病の人が歯周病をしっかり治療するとHbA1Cが改善する

慢性感染症である歯周病に対して、徹底的な治療を行うと、血糖コントロールが改善することがわかってきました。
逆にいえば、血糖コントロールが悪いと、歯周病の治療だけ進めても、歯周病がなかなかよくならないということです。

歯周病がある人は糖尿病の治療が困難になりやすい


  • 歯周病菌の内毒素や炎症にかかわる物質が増加する
  • 血液中のTNF-αが増加する
  • インスリンの効き目が悪くなる
  • TNF-α=慢性の炎症がるところで作られるたんぱく質
  • インスリンの働きを妨げる作用がある

歯周病と糖尿病の怖~い関係②~糖尿病の合併症について

糖尿病で怖いのは合併症です


糖尿病の恐いところは、自覚症状のないままに、慢性的な合併症が進行することです。

糖尿病の検査で、病院に行き、「目が見えなくなる」とか 「腎臓が悪くなって透析を受けなければならなくなる」などと脅かされた方はたくさんいます。

事実、途中失明や透析導入の原因の第一位が糖尿病なのです。

糖尿病が重症化すると、微小な血管の障害である網膜症、腎症、神経障害の三大合併症のほか、より大きな血管の動脈硬化が進行して、心臓病や脳卒中のリスクも高まります。

糖尿病による三大合併症

  1. 目の病気(糖尿病性網膜症)
  2. 腎臓の病気(糖尿病性腎症)
  3. 手足のしびれなど末梢神経の病気(糖尿病性神経障害)

糖尿病による三大合併症:網膜症、腎症、神経障害
糖尿病の三大合併症
網膜症・腎症・神経障害



















糖尿病の6大合併症

糖尿病の合併症にはさまざまなものがあり、
身体中のあらゆる所に出現すると言っても、過言ではありません。

合併症

障害の内容

典型的な
症状・結果

糖尿病網膜症 網膜に出血や剥離(はくり)などの
障害が生じる
失明
糖尿病腎症 腎臓の糸球体に障害が生じる 腎不全
糖尿病神経障害 神経に障害が生じる
典型的な初期症状は両足の裏の痺れ
重傷のものは痛みを感じなくなり、細菌感染に気付かず下肢の切断も
下肢切断
糖尿病足病変 主に下肢への血行が障害される歩行障害や下肢切断も 歩行障害
下肢切断
動脈硬化性疾患 心臓の冠動脈や脳血管が
障害を受ける
狭心症
心筋梗塞
脳卒中
歯周病 歯周病の重症化・慢性化 歯の喪失
歯根の吸収


インスリン(インシュリン)

インスリン(Insulin)


インスリン(インシュリン)は膵臓(すいぞう)から分泌される、ホルモンの一種で、糖の代謝を調節し、血糖値を一定に保つ働きがあります。 

血糖値を下げる働きをするホルモンは、インスリンだけです。

インスリン(インシュリン)は、膵臓内の、ランゲルハンス島と呼ばれる細胞の集まりの中にある、ベータ細胞から分泌されます。

食後に血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が上昇すると、それに反応して膵臓からインスリンが分泌されます。

細胞の表面には、インスリン受容体があります。
インスリンがこの受容体に結合することで、細胞は血液中のブドウ糖をとりこみ、エネルギー源として利用します。

余ったブドウ糖はグリコーゲンや中性脂肪に合成され、たくわえられますが、その合成を促進するのもインスリンの働きです。


糖尿病の予防には、食後の急激な血糖値の上昇を抑え、インスリンの分泌を節約することが大切です。

日本人は欧米人に比べてインスリン分泌予備能が低く、早期に分泌能が低下してくることが指摘されています。

また、栄養過多や運動不足による肥満やメタボリックシンドロームの増加により、インスリンの感受性が低下し、インスリン抵抗性から血糖調節のためのインスリン必要量が増加しています。


ラクトフェリンによるバイオフィルムの抑制と除去

ラクトフェリンはバイオフィルムの形成を抑制・除去します


森永乳業は、新潟大学大学院医歯学総合研究科との共同研究により、乳由来のたんぱく質【ラクトフェリン】が、歯周病の原因となるデンタルプラーク(歯垢)の本体である「バイオフィルム」の形成を抑制、除去する作用があることを確認しました。

ラクトフェリン( lactoferrin)とは


【ラクトフェリン】は、人などの哺乳類の乳汁や唾液などに含まれる、鉄結合性の乳タンパク質です。

抗菌活性や免疫調節作用など、さまざまな生理機能を示すことが知られています。

【ラクトフェリン】は、母乳に含まれています。
特に初乳には多く含まれており、抵抗力の弱い赤ちゃんを病原菌やウイルスなどの感染から守る重要な成分として考えられています。

また、唾液中には『ラクトフェリン』が0.01 mg/ml程度含まれており、口腔衛生環境の保持に主要な役割を、果たしていると考えられています。

バイオフィルムに対するラクトフェリンの効果確認実験

実験方法


2種類の歯周病菌を実験の対象としました。

対象菌

  • ポルフィロモナス・ジンジバリス
  • プレボテラ・インターメディア
歯周病の原因菌について

対象菌を嫌気性下で24時間培養して、作られた「バイオフィルム」の量を比較します。
クリス タルバイオレット染色法を用いました。

  1. バイオフィルム形成に対する抑制効果の実験
    ⇒歯周病菌「バイオフィルム」形成時に【ラクトフェリン】(0.008 mg/ml~)を添加して、24時間培養した
  2. バイオフィルムの除去効果の実験
    ⇒既に形成された歯周病菌の「バイオフィルム」に対して、【ラクトフェリン】(0.008 mg/ml~)を添加して、5時間培養した
  3. バイオフィルムと抗生物質を併用した時の効果
    ⇒既に形成された歯周病菌の「バイオフィルム」に対して、【ラクトフェリン】(0.5 mg/ml)と各種抗生物質を添加し、24時間培養した

実験の結果 

バイオフィルム形成に対する抑制効果の実験

0.008 mg/mlと低濃度の『ラクトフェリン』であっても、鉄の結合量に関わらず、歯周病菌「バイオフ ィルム」の形成を、抑制する作用が見られました。
また、【ラクトフェリン】の濃度を高くすると、さらに効果が高まりました。

バイオフィルムの除去効果の実験

【ラクトフェリン】は、0.008 mg/mlの低濃度でも、歯周病菌「バイオフィルム」の量を減少させました。

バイオフィルムと抗生物質を併用した時の効果

【ラクトフェリン】(0.5 mg/ml)を、抗生物質シプロフロキサシン(ciprofloxacin)(0.001mg/ml)または ミノサイクリン(minocycline)(0.01mg/ml)と併用することで、「バイオフィルム」除去効果が増強されました。

実験による結論

鉄結合性の乳タンパク質である【ラクトフェリン】は、試験管内で0.008 mg/mlという低濃度でも
、鉄結合量に関わらず、歯周病菌の「バイオフィルム」の形成を抑制し除去する作用があること、また、抗生物質の活性を増強することが明らかになりました。

また、より高濃度で、「バイオフィルム」が作られることを防ぐことから、【ラクトフェリン】を、外部から口腔内に供給することにも、意義があると考えられます。

バイオフィルムによる感染症のいろいろ

バイオフィルム(Biofilm)

Biofilm (生物膜) 多糖類やその他有機汚染物質でできたゲルの中のに細菌・真菌・藻等
が入り込んで複合体を形成し、何等かの表面に付着した状態のもの


  • 齲蝕(うしょく=虫歯)
  • 歯周病(ししゅうびょう)
  • 中耳炎(ちゅうじえん)
  • 筋骨格炎(きんこっかくえん)
  • 壊死性筋膜炎(えしせいきんまくえん)
  • 胆道感染症(たんどうかんせんしょう)
  • 骨髄炎(こつずいえん)
  • 細菌性前立腺炎(さいきんせいぜんりつせんえん)
  • 慢性気道感染症(まんせいきどうかんせんしょう)
  • カテーテル留置後の感染症

歯周病とココア(カカオ)・ポリフェノールの抗酸化作用

歯周病と抗酸化作用


歯周病は、歯肉の腫脹・発赤および歯周ポケットの形成を特徴とする炎症性疾患です。

歯周病の原因は歯垢(デンタルプラーク)です。
歯垢は、細菌の塊・集まりです。

現在では、【バイオフィルム:BIOFILM】の概念が、一般的です。
バイオフィルムの概略

歯周病の予防には、2つの側面があります


歯周病の原因となる細菌(バイオフィルム)を
  • 除去する
  • 出来にくくする

細菌によって炎症を起こした細胞は、細菌に対する宿主の防御反応として、活性酸素種(ROS)を産生します。

しかし、炎症に伴いROSが過度に産生された場合、宿主の抗酸化力を超えた結果として、細胞のDNA・蛋白・脂質が酸化による損傷を受けます。

酸化によるダメージを、酸化ストレスと呼びます。

酸化ストレスが歯周病の悪化につながることは、明らかにされており、歯周組織の酸化ストレスを抑制することは、歯周病の予防に効果的です。

抗酸化物の摂取は、宿主の抗酸化力を高めて、炎症に伴う酸化ストレスを軽減させます。


ココア(カカオ)・ポリフェノールの歯周病予防効果


ココア(カカオ)・ポリフェノールの抗酸化作用


ココア(カカオ)・ポリフェノールは、高い抗酸化作用があることで有名です。
ココア(カカオ)・ポリフェノールを含んでいるのは、チョコレートとココアです。

つまり、ココア(カカオ)・ポリフェノールの摂取は、歯周組織の酸化ストレスを抑制し、歯周病の進行を抑える効果があります。


友藤 孝明氏(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野講師)は、実験的に歯周病を惹起させたラットモデルを用いて、ココア(カカオ)・ポリフェノールの摂取が、歯周病の進行に及ぼす影響を組織学的・生化学的に検証しました。

歯周病対策としてのココア(カカオ)・ポリフェノールの有効性について

抗酸化効果確認の実験方法


8週齢のウィスター系雄性ラット24匹を用いた。
ラットを3群に分け、対照(無処置+標準食)群、歯周病(歯周病+標準食)群、もしくは歯周病+ココア(歯周病+10%ココア添加食)群を割り当てた。
歯周病は、両側の下顎第一臼歯にリガチャーを巻いて惹起させた。
添加したココアには42.5mg/gのポリフェノールが含まれていた。
なお、実験期間は4週間とした。
各群間の比較は、一元配置分散分析(One-way ANOVA)とTukey法を用いて行った。

血清酸化ストレスおよび抗酸化力への影響


実験開始時(ベースライン)、実験開始後2週目、および4週目に採血を行った。
血液から血清を分離し、酸化ストレスとして血清のReactive Oxygen Metabolites(ROM)レベルを測定した。

また、総抗酸化力の指標として、血清のPotential Antioxidant(PAO)も求めた。
実験開始後2週目および4週目において、歯周病群の血清ROMレベルの値は対照群よりも有意に高く、また血清PAO値は対照群よりも有意に低かった。

これらのことは、歯周病の進行に伴い、血液の酸化ストレスの増加と抗酸化力の低下が起きていることを示している。

一方、歯周病群と比較して、歯周病+ココア群の血清ROMレベルは有意に低く、血清PAO値は有意に高い値を示した。
ココア・ポリフェノールの摂取は、歯周病による血清酸化ストレスの増加と抗酸化力の低下を抑制できると推測される。

歯周組織の酸化ストレスへの影響


実験開始後4週目に、歯周組織のBiopsyを行った。
そして、歯周組織の酸化ストレスと抗酸化力の指標として、ミトコンドリアDNAに含まれる8-hydroxy-2’-deoxyguanosine(8-OHdG)の濃度と、還元型:酸化型グルタチオン比をそれぞれ求めた。

歯周病群の歯周組織は、対照群と比較して有意に高い8-OHdG濃度と、有意に低い還元型:酸化型グルタチオン比を示した。

また、歯周病+ココア群の歯周組織は、歯周病群よりも低い8-OHdG濃度と高い還元型:酸化型グルタチオン比を示し、それらの差は有意であった。

以上のことから、ココア・ポリフェノールの摂取には、炎症を起こした歯周組織の酸化ストレスを軽減させる効果があることが示唆された。

歯周組織の炎症への影響


Biopsy後、残りの歯周組織を取り出して浸漬固定、脱灰、およびパラフィン包埋し、切片をヘマトキシリン・エオジン染色した。

また、成熟破骨細胞を同定するために、アゾ・ダイ法を用いてtartrate-resistant acid phosphatase(TRAP) 活性を検出し、マイヤーのヘマトキシリン(Merck、Darmstadt、Germany)で後染色を行った。

各切片の観察は、接眼レンズに接眼ミクロメーター(0.025mm方眼)を装着した光学顕微鏡を用いて行った。
各染色に対して1匹あたり3枚の切片を組織形態学的に測定し、その3つの値に対して1匹ごとの平均値を求めた。


1)歯周組織の形態分析
HE染色切片を用い、セメント・エナメル境(CEJ)から歯槽骨頂までの歯軸に平行な距離
を100倍の視野で計測した。

2)免疫組織学的分析
歯槽骨表面において、細胞質が赤色に染色している細胞をTRAP陽性破骨細胞として400倍の視野で計数し、単位長さ(1mm)あたりの細胞数として表した。

その結果、CEJから歯槽骨頂までの距離の大きさとTRAP陽性破骨細胞数は、対照群よりも歯周病群においてそれぞれ有意に高い値を示した。
またどちらの指標も、歯周病+ココア群では歯周病群よりも小さな値を示し、それらの違いは有意であった。

これらの結果は、ココア・ポリフェノールに歯周組織の炎症を抑える効果があることを示してる。


実験的に歯周病を惹起させたラットモデルにおいて、ココア・ポリフェノールの摂取は歯周組織の酸化ストレスと炎症を抑制させた。

歯科医師や歯科衛生士は、ほとんどの場合、口腔内に限局して歯周病予防や治療を行っているが、本研究の結果は、ココア・ポリフェノールなどの抗酸化物を摂取して、全身の抗酸化力を高めることもまた、歯周病の対策に重要であることを示唆している。